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問い合わせ先

総務課学融合推進事務室
学融合推進センター事務係

〒240-0193
神奈川県三浦郡葉山町(湘南国際村)

TEL:046-858-1629、1657(事務直通)
FAX:046-858-1546
e-mail : cpis-office(at)ml.soken.ac.jp

大統合自然史(仮称)

第八回 大統合自然史授業開発研究会


開催日時:平成29年5月30日(火)13:30-17:00

開催場所:AP品川アネックス



【概要】
 平成29年5月30日(火)に、AP品川アネックスにおいて、第8回大統合自然史授業開発研究会が行われました。第8回研究会では、「大統合自然史II 生命・人類編」の実質的な講義内容について議論が行われました。特に、各授業担当者の間で、講義内容に関する分担・擦り合わせが行われました。また、課題図書や事前・事後課題についても、案が提示されました。


  【「大統合自然史II」の授業スケジュールについて】
 最初に、鎌田先生から今回の研究会の趣旨説明があり、簡単な参加者自己紹介の後、七田先生から授業スケジュールについての説明がありました。

 概要は以下の通りです。

9月13日 場所:JT生命誌研究館
  0講:対面授業のガイダンス
  1講:大統合自然史生命人類編の時間軸について(伊村智先生)
  2講:生命誌研究館見学(中村桂子先生)
  3講:遺伝子と神経系・脳の発達について(岩里琢治先生)

   9月14日 場所:国立民族学博物館
  1講:民博の展示哲学について(吉田憲司先生)
  2講:人類の移動について(関雄二先生)
  3・4講:民博展示から学ぶ人類のあり方(久保正敏先生・藤井龍彦先生)

   9月15日 場所:スペースアルファ(富士ゼロックスの外部向け研修施設)
  1講:進化について(長谷川眞理子先生)
  2講:環境と人類について(阿部健一先生)
  3講:ディスカッション

*) 7月25日に総研大の遠隔授業システム「テラス」を用いて鎌田先生がガイダンスの講義を行う。


【「大統合自然史II」の各講義内容について】
 続いて、各講義内容について授業担当者から説明がありました。
 極域科学専攻の伊村先生からは、最初に年表を用いて講義で登場するイベントを時間軸上に位置付け、「全球凍結」「生命の陸上化」「気候変動と人類史」といったテーマを扱うという説明がありました。大石先生から「生命の始まり」、広海先生から「海洋形成」「隕石衝突」を取り上げる必要性について指摘がありましたが、鎌田先生から時間的な制約から全てを扱うのは困難であり、課題図書で対応するつもりであることが説明されました。
 遺伝学専攻の岩里先生からは、行動を生み出す脳の基本的な構造・働きについて説明するとともに、モデル生物の重要性やゲノム編集などの新しい技術、アレン脳地図のようなビッグデータについても扱う予定であることが説明されました。阿部先生から「報酬系」、広海先生・長谷川先生から「ミラーニューロン」について取り上げて欲しいとの要望がありました。
 質疑の中で、本講義の目的をビッグピクチャーの中で自分の研究を位置づけることができるようにすることとすべきだとか、研究をするにまで至る知的活動を可能とする一方、欲望をコントロールすることができないという、ヒトの特性の生物学的基盤を抽出して講義すべきだとの意見が出ました。さらに、本講義は自然科学なのか倫理学なのかといった議論にまで及びました。
 地域文化学専攻の久保先生からは、梅棹忠夫の考えた民博のコンセプトについての話題が提供されました。露出展示を原則とすることについて、展示しているのは上流階級のものではない「ガラクタ」であり、実際に触れることで現地の人を感じることが目的とされていることが説明されました。当初は、知的好奇心が高い人が来ることを想定して説明を少なくし、来館者自身が文化の背景にある構造を把握することが求められる構造展示の形を取っていたが、最近では、展示は現地から切り取られたものであり、その展示を通して展示する側・される側・見る側の3者が話し合うという、フォーラム型展示の形を取っているという、展示理念の変遷についても説明されました。また、学生が広い敷地を有する民博の展示を廻り意義のある理解を得るためには、「水の器」「宗教」といったテーマを設定することが有効ではないかとの提案がありました。説明を受けて、予習の必要性、自然科学との関連、大統合自然史の中での位置付け・意義付けなどについて議論がなされました。
 総合地球環境学研究所の阿部先生からは、地球環境問題から見えてくる人類の未来をテーマにすることが説明されました。西洋では、適者生存のような機械論的な進化論を超えつつ、道徳臭さを無くした倫理学が始まっていることが紹介されました。気候変動枠組条約のような、地球環境問題に関わる世界的な動きを紹介された後、人類が地球の気候・生態系に大きな影響を及ぼしていることを表した人新世という概念を紹介されました。また、企業活動に頻繁に登場する単語はproject、profit、・・・のように「pro」が接頭辞として付くものが多く、近代の特徴は前のめりの姿勢であるという鷲田清一の指摘が紹介されました。最後に、フォアキャスト思考かバックキャスト思考かという切り口で、地球の限界・人類の限界について学生に考えてもらいたいとの説明がありました。


【課題図書と事前課題・事後課題について】
 最後に鎌田先生から、ガイダンス講義の概要について説明がされた後、課題図書と事前課題・事後課題について説明がありました。課題図書の候補として「ビッグヒストリー」「サピエンス全史」「銃・病原菌・鉄」「進化の教科書」「アメリカ版大学生物学の教科書」「人類と気候の10万年史」「生命誕生」「Homo Deus」が挙げられましたが、もっと適切な本があれば紹介して欲しいとの話がありました。大石先生から課題図書として「宇宙生命論」の推薦がありました。


【まとめ】
 以上のように、各講義の実質的な内容が紹介され、全体としての方向性を一致させるべく、擦り合わせの議論が活発に行われた、有意義な研究会でした。各講義の位置付けが明確となったため、今後、各授業担当者が講義の準備をする上でも非常に重要な意見が得られたと考えられます。



【会の様子】