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問い合わせ先

総務課学融合推進事務室
学融合推進センター事務係

〒240-0193
神奈川県三浦郡葉山町(湘南国際村)

TEL:046-858-1629、1657(事務直通)
FAX:046-858-1546
e-mail : cpis-office(at)ml.soken.ac.jp

葉山セミナー  8 September 2013

葉山セミナー 「賢さだけじゃない!カラスという生き物の面白さ -鳴き声と視覚に関する研究の紹介-」

講師: 塚原 直樹(学融合推進センター 助教)

 硬いクルミの殻を車にひかせ中身を食べる、枝を使って木の中に住む幼虫を釣って食べるなど、その知的行動が観察され、賢さで脚光を浴びているカラスですが、賢さ以外にも興味深い特徴を持っております。
 例えば、我々の身近でよく見かけるカラスにハシブトガラスというカラスがおりますが、ハシブトガラスの鳴き声は非常に多様です。私がハシブトガラスのボキャブラリーを調べようと、鳴き声の分類を試みたところ、少なくとも41種の異なる音響的性質の鳴き声があることがわかりました。多様な鳴き声を持っているカラスは発達した音声コミュニケーションを行っている可能性があります。私はこれを利用すれば、カラスの行動制御が可能かもしれないと考えました。そこで、カラスの逃避時の行動を観察した結果、その際に発せられる鳴き声には、数種の鳴き声の組み合わせによるパターンがあることに気づきました。それを録音し、カラスの群れに向けて再生するとカラスの群れは離散しましたが、同じ音声を連続で再生するとすぐに慣れてしまうので、組み合わせパターンにバリエーションを設けるなどの工夫を行った結果、効果の持続が確認できました。この技術を特許化し、企業との共同開発による製品化を行いました。しかしながら、ねぐらなどのカラスにとって執着が強い場所などでは効果が無い場合もあり、まだまだ改善する余地があります。
 この他の面白い特徴として、カラスは優れた色覚を持ち、紫外線をも認識することができます。と言っても、これは多くの鳥に共通する特徴ですが、人とは見ている色が異なるという点で、カラス対策に応用できるのではと思い、私は注目しております。そこで、紫外線の有る光環境下と無い光環境下で、食品のハムとその食品サンプルを使って、カラスに選択させるという実験を行いました。すると、紫外線が有る光環境下では高い確率でハムを選ぶのですが、紫外線の無い光環境下ではハムを選ぶ確率が下がり、ハムと食品サンプルを識別できないという実験結果となりました。これは、カラスが物を識別する上で、紫外線が重要であることを示唆しております。このことは、カラス被害対策を行う上で、ひとつの鍵となるカラスの特徴であると私は考えており、詳細は伏せますが、この特徴を利用した応用研究を現在行っております。