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問い合わせ先

総務課学融合推進事務室
学融合推進センター事務係

〒240-0193
神奈川県三浦郡葉山町(湘南国際村)

TEL:046-858-1629、1657(事務直通)
FAX:046-858-1546
e-mail : cpis-office(at)ml.soken.ac.jp

公募型研究事業採択課題代表者インタビュー

終了した公募型研究事業採択課題の代表者に、研究内容や成果、学際研究を行ってみての気づき、今後の展開などについて、インタビューを行いました。



研究代表者 坊農真弓(ぼうのうまゆみ)

国立情報学研究所 准教授 
総合研究大学院大学 複合科学研究科 准教授
  専攻は社会言語科学、会話情報学、手話学
主な研究テーマに、「ロボット井戸端会議に入れるか」、「手話言語コーパスプロジェクト」などが挙げられる

研究分担者

○研究分担者
高梨克也 京都大学・研究員 (インタラクション研究)
緒方広明 九州大学・教授 (計算機科学,協調学習)
宮尾祐介 国立情報学研究所/総合研究大学院大学・准教授 (自然言語処理,計算言語学)
城綾実 京都大学・研究員 (ジェスチャー研究,会話分析)
大崎章弘  国立情報学研究所・特任研究員 (ヒューマンコンピュータインタラクション)

○連携研究者
角康之  公立はこだて未来大学・教授 (ヒューマンコンピュータインタラクション,人工知能)

○研究協力者
牧野遼作 総合研究大学院大学・大学院生 (ジェスチャー研究,会話分析)
佐藤美祐 北陸先端科学技術大学院大学・大学院生 (博物館学・ヒューマンコンピュータインタラクション)
森田由子 日本科学未来館・科学コミュニケーター (生物学)

科学の語り部「サイエンスコミュニケーター」のテクニックを紐解く

 サイエンスコミュニケーターという仕事をご存知ですか? 一言で説明すると、科学と人を繋ぐ「橋渡し」をする仕事です。 では日本科学未来館はご存知でしょうか? 東京のお台場にある人気の科学館です。 宇宙飛行士の毛利衛さんが館長を務めており、テクノロジー、地球環境、宇宙の探求、生命の不思議などに触れることができ、 最新の科学技術を体験できる施設です。 このような施設で働くサイエンスコミュニケーターは、大人から子供の幅広い層に科学の面白さを伝え、豊富な知識と経験を元に皆さんを科学の世界へ誘う「ストーリーテラー」なのです。

 坊農先生が総研大の「育成型共同研究の採択課題」として取り組んだのが 「科学技術コミュニケーションの実践知理解に基づくディスカッション型教育メソッドの開発」です。 このプロジェクトは、科学未来館のサイエンスコミュニケーターから 「サイエンスコミュニケーターの能力を評価する方法がないから手伝ってほしい」とお願いされた事に始まりました。 実践の中で育まれる様々なテクニックを評価するには、まずはサイエンスコミュニケーターに密着する必要があります。 坊農先生は、彼らのテクニックを可視化するという難しいミッションに挑戦しました。


サイエンスコミュニケーターの知られざる能力を発見

 研究を行っていく中で、サイエンスコミュニケーターの素晴らしい能力に驚かされたと言います。 未来館でのサイエンスコミュニケーターの案内は、5分程の短い時間なのですが、 そこにはコミュニケーションに大切な「様々な要素」が詰まっていました。 決まった案内ツアーなどは存在せず、展示物を見ている来館者にそっと近づき声をかけます。 例えば、「50年先の未来」をテーマにした展示物の前にいる子供達に対して 「50年後の皆さんは何歳ですか?」と質問を投げかけます。 自己紹介から始めるではなく、具体例を挙げながら科学の話へ誘導していくのです。

 サイエンスコミュニケーターのテクニックは会話の中だけにとどまりません。 会話が盛り上がってる最中に、サイエンスコミュニケーターは次の展示へ目線を動かします。 次の展示に誘導するのに十分なスペースがあるか、他の来館者の動きなど、誘導のタイミングを図り、スムーズに誘導していきます。
 これらサイエンスコミュニケーターの素晴らしいテクニックのおかげで、来館者達は展示に集中することができ、研究を身近に感じるキッカケになるのです。

研究者一人一人がサイエンスコミュニケーターになる?

 本プロジェクトは、次のステップへと歩み始めています。 サイエンスコミュニケーターの実践知の理解の先にあるものは、教育です。 当初のきっかけにあった、サイエンスコミュニケーターの指標作りに加え、サイエンスコミュニケーターのマニュアルの作成を行う予定です。 また、サイエンスコミュニケーターの伝えるテクニックを基に、総研大生へ「コミュニケーションのスキル」のトレーニングが出来るプログラムの展開を考えているそうです。

 坊農先生は、研究成果の社会への還元や周知が求められる今こそ、研究者がもっと自身の研究を魅力的に語っていく必要があると言います。 一人一人の研究者が、サイエンスコミュニケーションのスキルを身につけていけば、研究者自身がサイエンスコミュニケーターになる日が訪れるかも知れません。

総研大だからこそ見えた「研究の発展」

 総研大生の多くは、入学した時点で大きな研究プロジェクトに携わっていきます。 これは、他の大学院生ではあまり経験しないことかもしれません。 プロジェクトの中で、様々な基盤機関の先生方と共同研究を行うことで、 専門分野に捉われない多角的な視点が生まれます。 その視点が持てることこそ、総研大のメリットだと坊農先生は言います。 今回の坊農先生のプロジェクトに参加した学生達も総研大ならではの学融合に触れて広い視野を持てたのではないでしょうか。

 また、学生がプロジェクトに参加することは、教員側にとっても教育を意識することにつながります。 学生参加型の募集であるからこそ、本プロジェクトが大学院生へ向けた「ディスカッション型教育への展開」まで結びつける事が出来たと言えるのではないでしょうか。