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問い合わせ先

総務課学融合推進事務室
学融合推進センター事務係

〒240-0193
神奈川県三浦郡葉山町(湘南国際村)

TEL:046-858-1629、1657(事務直通)
FAX:046-858-1546
e-mail : cpis-office(at)ml.soken.ac.jp

公募型研究事業採択課題代表者インタビュー

終了した公募型研究事業採択課題の代表者に、研究内容や成果、学際研究を行ってみての気づき、今後の展開などについて、インタビューを行いました。



研究代表者 木村 暁(きむらあかつき)

総合研究大学院大学 生命科学研究科 教授
国立遺伝学研究所 構造遺伝学研究センター 細胞建築研究室 教授
主な専攻は生物科学 細胞生物学 細胞建築学
主な研究テーマに 「細胞分裂の力学的理解」などが挙げられる

研究分担者

田辺 秀之 (総研大先導科学研究科生命共生体進化学専攻・准教授)
成瀬 清 (総研大生命科学研究科基礎生物学専攻・准教授)
竹花 佑介 (総研大生命科学研究科基礎生物学専攻・助教)
原 裕貴 (山口大学大学院創成科学研究科・テニュアトラック助教 / 総研大遺伝学専攻博士課程平成21年度修了)
奥村 誠一 (北里大学海洋生命科学部・教授)
山縣 一夫  (近畿大学生物理工学部・准教授)
菊池 真司  (千葉大学園芸学研究科・助教)
山本 一徳  (生命科学研究科遺伝学専攻・博士後期課程)

細胞に潜む隠れた秩序を探るプロジェクト

 細胞にはDNAやタンパク質など様々な物質があります。 個々の物質はそれぞれ役割を持ち、一つの細胞として、そして一つの生命として機能しています。 個々の物質に意思や知能があるわけではないのに秩序が生まれている、そこに木村先生の興味があります。 細胞の中には、核やミトコンドリアなど様々な構造物が適材適所に存在していますが、それらがどうやって存在するのか、「細胞建築学」と称して、木村先生は細胞に潜む隠れた秩序を探っています。

 今回の「学融合共同研究」の採択課題では、「細胞建築の博物学」と題し、様々な生物における細胞のサイズと構造物の形態の規則性に焦点を当てています。


種を超えた細胞の「定規」の発見

 木村先生はこれまでの研究から、センチュウの細胞において、「細胞サイズと紡錘体の伸長」、「紡錘体の縦の長さと横の長さ」、「核内の染色体密度と染色体の凝縮度」に 規則性があることを発見しました。 このプロジェクトを推進した研究室の学生の原裕貴さん(現・山口大学テニュアトラック助教)との議論から、このような規則性は生物種を超えて共通して存在しているのではないかと考え、 今回の研究で、霊長類、マウス、カエル、メダカ、海産無脊椎動物、植物の細胞を比べることにしたそうです。

 そしてこれらの様々な生物の膨大なデータの蓄積と解析から、ある種の規則性があることが見えてきました。 木村先生が見つけた、この種を超えた規則性ですが、実は今後の私たちの生活に役立つ可能性を秘めています。 種を超えた規則性を探る作業は、ある意味、「定規」を見つける作業であると木村先生は言います。 この「定規」に当てはまらない細胞は、普通の細胞とは異なるガン細胞や万能細胞かも知れません。 もしかしたら近い将来、「定規」を基準にガン細胞の診断が可能となるかもしれませんし、新たな万能細胞を見つける手助けになるかも知れません。

総研大だからこそ、時代や分野にとらわれない挑戦的な研究

 今回のプロジェクトのメンバーは、過去に行われた総研大の様々な会議などで知り合った先生が多いそうです。 この研究者ネットワークこそが、総研大のならではの分野横断型の活動によって生まれた成果物であり、 研究の学融合的な広がりにつながる、と木村先生は言います。 遺伝学の世界では、対象となる生物が違えば、研究の仕方が大きく変わってくるそうです。 そのため、対象となる生物種が多くなることは避けられがちだそうで、今回のプロジェクトであるからこそ挑戦できた、と木村先生は言います。

本プロジェクトは、時代や分野にとらわれない、総研大ならではの研究と言えるのではないでしょうか。

誰もが参加できる「参加型研究」へ

 今後の研究の発展としては、 現段階で発見、検証した「規則性」について、もっと多くの生物種に対象を広げて、より多くの研究者に協力を得ながら研究を進めて行きたいそうです。 また将来的には、一般の方が参加できるプロジェクトに発展させていきたい、と木村先生は言います。 一般の方に、身近な生物やご自身の細胞の写真を撮影し提供してもらうことで、バラエティ豊かな「定規」を作っていきたいと考えています。 皆さんも「新たな定規」を作る研究チームの一員になる日が来るかも知れません。