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問い合わせ先

総務課学融合推進事務室
学融合推進センター事務係

〒240-0193
神奈川県三浦郡葉山町(湘南国際村)

TEL:046-858-1629、1657(事務直通)
FAX:046-858-1546
e-mail : cpis-office(at)ml.soken.ac.jp

戦略的共同研究Ⅰ 採択課題

惑星科学と生命科学の融合:生命概念の普遍化をめざして 生命共生体進化学専攻 長谷川 眞理子



【目的】
20世紀末以来、地球生命の起源と進化の探求、無人探査機による太陽系諸惑星と衛星の探査、太陽系外の恒星をめぐる無数の惑星系の発見という3つの分野における研究がめざましく前進した。それは必然的に太陽系及び太陽系外における生命の存在に関する科学的関心を高め、欧米では既にその組織的研究が、探査計画の検討も含めて進んでいる。国際天文学連合(IAU)ではBio Astronomy委員会が、活発に活動している。
宇宙における生命の研究は、地球上の生命を大きな視点から位置づけなおすものであり、21世紀の新しい総合的科学の分野として長期的に発展させねばならない。そのためには宇宙・地球・生命の諸分野がダイナミックかつ密接に結びつくことが本質的である。我々は2009~2011年度に行われた国際高等研究所研究の研究プロジェクト「宇宙における生命の総合的考察とその研究戦略」においてその第一歩を踏み出し、このテーマにおける日本初の分野横断的議論を極めて刺激的に進めてきた。その成果はテキスト『宇宙の生命(仮題)』として出版準備が進んでいる。本申請はこの成果を踏まえ、短期、長期の時間軸も含めながら、宇宙、地球、生命、文明にかかわる第一線の研究者による広い分野の横断的研究を一層具体的に進め、その中から具体的な研究計画を創出し、また若い人々が夢を育める大きなシナリオ・研究展望を示して、日本の大学等における研究の育成を目指すものである。

【必要性】
かつては夢物語であった「宇宙における生命」は、今や科学の課題となっている。宇宙の生命を考察し地球の生命を振り返ることは、地球と生命、また21世紀の人類のあり方や文明そのものにも新たな視点を生みだす可能性を持つ、優れて分野横断的かつ刺激的なテーマである。
しかし日本では個々の関連分野では優れた研究があるものの、欧米に比して宇宙の生命に正面から取り組む流れにおいて、大学などでの対応は非常に遅れているのが現状である。これは、研究組織の縦割りが顕著で分野を越える新たな研究分野の創出が不得手な日本の現状を反映している。その状況を超えてゆくためにも、前記国際高等研究所での研究成果を大学生向けに出版した上に立ち、さらに研究検討を重ねて具体的な展望・研究戦略・研究課題や教育テーマとしても提示してゆくことが重要と考える。ここに示したような広い分野にわたる第一線の研究者により研究を継続的に組織できることは、伝統的とも言える日本の優れた手法であり、この新しい分野の形成には極めて有効である。

【目指す成果】
 本申請課題は、太陽系内および太陽系外惑星系における生命のさまざまな可能性を、生物学、地球惑星科学、天文学など関連する諸分野の第一線の研究者による広く深い討議で探り、分野を超える総合的な議論を進めることで探求戦略を具体化する。すでに国際高等研の研究会で地球型惑星における水問題と生命の関連や火星生命探査の具体案など新しい課題や展望が得られ、学生向けテキストにも盛り込まれる予定だが、目覚しく進展するこの分野では、常に思いがけない展開を迎える可能性がある。そうした新たな展開を取り込みながら研究計画・戦略を推進し、将来展望を具体化すること、加えて、遅れている日本の宇宙生命研究を大学や研究機関において推進し、国際的にも発信してゆく。その成果は2014年に奈良で開催される生命の起源及びアストロバイオロジー(ISSOL + Bio Astronomy)国際シンポジウムでも報告される。また3年間の成果としては、『宇宙の生命(仮題)』テキストの更新、およびさらに高いレベルでの発信を目指したい。

インタビュー「新たな視点を見つける研究」

2014年7月28日

<話し手>
長谷川眞理子(総合研究大学院大学 副学長) 

<聞き手>
奥本素子(学融合推進センター 助教)

【写真】インタビューに答える長谷川副学長

生命共生体進化学専攻も併任されている副学長長谷川先生が代表を務める「惑星科学と生命科学の融合:生命概念の普遍化をめざして」は今年で三年目を迎える学融合推進センターが支援する戦略的共同研究事業です。物理学、生物学、文化科学の研究者が研究の枠を超えた地球以外の生命の可能性について話し合う学際研究の実態についてお伺いしました。

―本共同研究は様々な方が関わっておられますが、そもそも研究を立ち上げたきっかけは何だったのですが?

長谷川 もともとはこのテーマは国際高等研究所で行われていた共同研究でした。天文学者を中心に始まったこの共同研究の最終年に私が携わっており、その後総研大でこのテーマを発展させることになりました。それまでの研究は系外惑星探索が主流でしたが、総研大の共同研究にするにあたり、地球外に生命がいたとしたらそれは知性を持ちうるのか、という生物や文化系の視点からも研究を発展していったのです。

―壮大なリサーチクエスッションですね。

長谷川 そもそも、現在の生物学は地球上の生物しか扱っていません。地球の生物は、元々は一つの生命体から進化したものだと考えられます。つまり多様には進化しているのですが、その源流は一つであり、サンプル1の生物学といっても過言ではありません。今回、地球外生命体を考えることによって、現在の生物学が取り扱っている生物という概念をより普遍的な視点から考える機会になりました。

―普通の共同研究では出てこない視点ですね。

長谷川 文明を捉える試みも同様です。例えば、高度な知能を持った生命は電波を必然的に利用するようになるのか?という問いがあります。天文学者は電磁波は宇宙に普遍的に存在するので、必ずやそれを発見して利用すると主張します。一方で、地球に生命が誕生したのが40億年前、ホモサピエンスの登場が20万年前といわれていますが、西洋近代科学が誕生するまでどの生命も、どの文明も電波を利用してきませんでした。本当に電波を利用することは必然なのでしょうか。

電波の問い、あなたならどう答えますか?

長谷川先生の話をもっと詳しく読みたい方はCPIS NEWS No.17(8-9ページ)にて!